『本当は5つ星。だけれど…』
てんかん、癌。そして別れ。
この思い出を書くために費やす意志の強さに敬服する。
命が命でなくなっていくとき、
グレイがほかの何かに変貌していくとき、
伊勢さんたち一家は張り裂ける思いを味わったはすだ。
哀しくて、悲しくて、そしてつらい。
もの言わぬグレイが漏らす悲鳴で心までつぶれていく。
そんな毎日が連続する中、ほんの一瞬グレイがグレイでいる。
その一瞬を、一瞬の輝きを捉える筆は痛ましい。
死に臨むグレイを抱きしめる伊勢さんの胸に去来する思いは
すべての犬を買おうとするものの叫びでもある。
第一作でつぶやいた言葉、
『グレイは待ってやいやしない。…待っていたのは私らしい』
だったかな、(うろ覚えですみません)
その言葉の意味が本作にある。