消音ピアノユニット(サイレントピアノ)のメーカー

松下電器産業電子楽器事業部 訪問記

 7月17日午前、大阪門真市の松下電器産業電子楽器事業部を訪問した。
 目的は、消音(サイレント)ピアノ。
 僕が、松下製の消音ピアノについて批判的な事を書いていたから、きっと、むっとしているだろうなと思いながら伺ったのだが、この製品を開発した人たち、取り付け技術を指導する人、営業の人たちは、あたたかく迎えてくれた。
 
 消音ピアノについて感じてきたのは、タッチの悪さ。その主な理由はレットオフ調整のあまさにあるのだが、その点について、ここにあるピアノではきちんと調整ができ、良いタッチがでていた。レットオフは弦から4〜6mmにしていると、開発の人の言葉。現実的な値としては妥当だと思う。(消音機能解除時)

 世に出回っているピアノの中には、長い間、調律も整調もせずにほったらかされて、タッチも何も、ひどくくるってしまったものがいっぱいある。そのままでも消音装置の取り付けはできるし、もしそのような場合、ピアノのタッチの悪さは消音装置の責任ではさらさらない。

 この商品をピアノに取り付ける技術を指導している人によると、「講習会では、整調(ピアノのメカの微調整)を重視している」そうだ。消音装置取り付けのついでに、整調がなされて、ピアノの状態がもとよりよくなるのなら、一石二鳥だと思う。

 僕がこれまで、各社消音ピアノについて疑問に感じてきたことは、あくまでもその機能を解除して普通のピアノとして演奏する場合のこと。その時のピアノの状態が、取り付け前より悪くなるなら、このような装置をとりつけることはマイナスだと思う。そうならないように、取り付け技術者も、メーカーもがんばらなくちゃならない。

 この日、メーカーである松下電器産業で、消音ピアノに実際にかかわっている人たちと出会い、彼らのこの装置に対する真摯な取り組みが理解できた。僕も、素直に考えを改めようと思う。装置そのものの善し悪しよりも、1つの楽器(ピアノ)をよりよくするために、メーカーと技術者が手を携えて努力することこそが必要なのだ。

 ことに、このメーカーの製品のように、新品のピアノに初めからついているものではなく、古いピアノに後から取り付ける場合、様々な困難が考えられる。しかし、一様な状態でない個々のピアノに対し、非メーカー的、非大量生産的に個別にしっかりと対応する事ができるなら、「さすが、天下の松下!」ということになるだろう。この装置の普及により、唄をわすれた多くのピアノが「ピアノ売ってちょ」のおじさんの手から救われ、元気を取り戻すようになってほしい。ちなみに、我がピアノ技研のうたい文句は「 Making Pianos Sing Again! 」なのだ。
 
 僕がここで松下の名前を出した理由は、松下の宣伝のためではない。我がピアノ技研のように超マイナーな修理屋の田舎工房のホームページから私のつたない1文を見つけ、「松下製」と名指しで書いた批判的な記事に対するクレームとしてではなく、真摯に前向きに応対してくださったことに対するお礼の気持ちからである。

 では、私の「批判的記事」は、撤回するのか? 
 「松下製」という名指しの部分は削除して、全体的に書き直そうと思う。ここで指摘した問題点は、他の全メーカーのものを含めて依然存在するからだ。しかし、今度は、決して消音ピアノの販売を否定するものではない。だが、やはり、僕は消音ピアノは嫌いだ。(しかし、このごろ、恥ずかしながら、あれほど嫌いだった電子ピアノも少しづつおもしろく思うようになってきた - - -という心変わりも、実の所少しあるのだ。)僕も一度消音ピアノを取り付けてみたくなった。(もちろん、よそのピアノに)。その時は、松下さんにたのんで、取り付け技術を教えてもらおうか。

                    2000年7月31日
                    ピアノ技研  今井 恵

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