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サイレントピアノの問題点


最近話題の消音ピアノ(サイレントピアノ)、いろいろなメーカーから発売されている。先日、あるユーザーから、この装置を取り付けてからピアノの調子がおかしいと、相談を受けた。その機会に、この装置の問題点を考えてみた。この見解が、消音ピアノの改良につながることを願います。

エスケープメントの概要

escapement  鍵盤を静かにおろしていくと、ハンマーは弦に近づき、弦に接触する直前に(当たることなく)戻り始める(エスケープメント)。
 高音部で約2〜3mm、低音部で約3〜6mm とされている。メーカーによっては、約1mmまで接近させるものもある。
 音色の歯切れの良さ、強弱の微妙な発音(特にピアニッシモ)、繊細なタッチを左右する重要な機構である。
 これが広がると、ピアニッシモ、フォルティッシモともに出にくく、音質は荒くなる傾向がある。

消音ピアノ取り付け時の問題点

bad escapement  消音をON にしたとき、ハンマーが弦に当たる前にその動きを止めるためのストッパーが作動する。このストッパーの位置の詳細の設定は知らないが、今まで見たところでは、弦から10mm 程度で作動するようになっていた。
 この距離が前記エスケープメントの調整で設定された値より小さければ、当然音を止めることはできないし、大きければ、ハンマーの動きが物理的に阻止されるのだから、鍵盤も一番底までは降りずに止まる。
 問題は、ここにあると思われる。

 消音作動時、鍵盤を無理に底まで押し下げようとすると(演奏上必ずそうする)、ハンマーはストッパーで止められるのでそこに無理な力が生じる。そのままでは、ハンマーシャンク(ハンマーの下の棒)が折れるということまでは無くても、ジャックという部品に無理な摩擦が生じたり、そのほかの弱いところに悪影響を与える。
 それをさけるために、メーカーによっては、消音機構取り付け時に、エスケープメントを広げる作業をしているようである。すなわち、ストッパーに当たる直前までにエスケープさせる。見た所、エスケープメントの設定は 弦から約 10mm ぐらいになっている。
 これは、ピアノ調整の基本を大きく逸脱した方法である。

 このようなことがまかり通る背景には、ピアノの調整に対するあまりにもお粗末な日本のピアノ界の無関心がある。調律の教科書的文献には重要な項目として皆記載しているこの項目について、また、ほとんどの調律師が周知のこの項目について、たいていの場合、無視されている。確かに、少々狂っていてもわからないだろうが、一流の演奏は、このような目に見えない部分での微細な調整の努力の上に成り立っている。しかるに、初心者が練習に使用するピアノこそ、このような微細な調整が不可欠である。現代のピアノのほとんどは、安価な物でさえ、このような調整が可能なように作られているのだから、なおさらである。

 先日、松下電器産業で見学させていただいたものでは、エスケープメントは、約5mm になっていた。これは、松下電器産業電子楽器事業部 訪問記にも、記したように、妥当な値であり、ピアノとしては当たり前のことだ。しかし、消音時にはストッパーの感触が指に伝わる。消音時は、元のピアノとは別物の電子ピアノに変身するのだから、本来のピアノのタッチを求める必要はないのかもしれない。消音を解除すれば、元にもどるのだから。  このことについて、テクニクス消音ピアノユニットのカタログには、消音演奏時について、「通常のアコースティック演奏時とほとんど変わらないタッチ感が得られます。」と記されている。本当に、そうなってほしいと思う。

 同じカタログに、「アコースティックピアノ本来の機能を損なうことはありません。」とも記されている。これについては、松下さんで見せてもらったものに関しては異議はない。この文の冒頭にしるしたような事は、取り付けの仕方が悪かったのだろう。いいかげんな取り付けをされたら、災難だ。カタログが嘘になる。  しかし、うでのある技術者が良心的に取り組んだら、元より良くなることもありうるのだ。

 今後、各消音メーカーに努力してほしいことは、次の1点である。
 すなわち、消音のためにハンマーを弦の手前でストップさせた時に生じる無理をどうやって解消するのかということ。エスケープメントをひろげて(前述)逃げる、非音楽的な方法か。それとも、タッチを犠牲にする(ストッパーの感触が指に伝わる)のか。
 そういう否定的な方法ではなく、すばらしいやりかたを考え出してほしい。

   僕も、考えてみよーっと。特許とれるかな?

 付記

 この文は、1999年5月に、「松下製消音ピアノの問題点」として書いたものです。たまたま、あるユーザー宅で見た物が松下製で、それに対し問題を感じたので書いたのです。しかし、他社製品もいろいろ見、同じような感想を持つにいたり、また、メーカー松下での真摯な取り組みも理解できたので、「松下製」という名指しは撤回する事にしました。松下さん、ごめんなさい。

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