調律はどのくらいの期間でしたらよいでしょう?

 日本は四季の変化が美しい反面、ピアノには過酷な条件にあると言えます。

 ピアノは木やフェルト、鉄、銅、皮革などいろいろな材料でできています。それらが、それぞれの性質に応じて湿度や気温に敏感に反応し、伸びたり縮んだりしています。また、羊毛につく虫が、部品を食い荒らしてしまうこともよくあります。スチールの弦が錆びてしまうこともよくあります。そのことは当然、音程や、音色、鍵盤の動きなどに、はっきりとした悪い影響を与えます。

 これらの影響を少しでも少なくするためには、開閉の多いドアや、窓のそばから離れたところにピアノをおくようにしたり、冷暖房の直接影響のある場所からはなしておいたり、また、直射日光をさけて、おくようにすべきです。乾燥しすぎ、湿気過ぎは禁物です。湿度は42%ぐらいがよいとされています。防虫剤や、防錆材なども忘れずにとりかえましょう。雨の日には、窓を閉めておくことも大事なポイントです。

 それらの害を最小限にくい止め、いつまでも最良のコンディションでピアノを維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。はっきり言って、「くるってから」、「ならなくなってから」、「こわれてから」では、たいていの場合手遅れです。

 日本のように四季の変化の顕著な地域ではそれぞれの季節に、すなわち年に4回のメンテナンスが必要と、専門家の間では言われています。でもそれは現実的ではないので、できれば年に2回の定期的なメンテナンスを、おすすめしたいと思います。

 特に購入した最初の年は回数を多くする必要があります。工場で作られたばかりのピアノは、張られたばかりの弦の張力や、新しい環境(あなたの家の湿度や室温)に適応しようと、体を伸ばしたり、縮めたりしてます。ですから、この時期に頻繁に調律や整調をおこなって、正しい状態にピアノを落ちつかせる努力が必要なのです。

 調律を長期間せずに放置したピアノは、 ピッチの引き上げが必要になります。そして、それはピアノにとって過分な負担になります。ピアノの弦の張力の総和は、20トンにものぼるのですから。

ピアノの手入れ


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